淑与野ニュース

【SCHOOL VISION 2013】生徒たちと学校の未来を考えるワークショップを開催しました

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生徒たちと学校の未来を考える
SCHOOL VISION 2013 「淑徳与野の教育」
Teachers Workshop 0518

――― 5月18日の土曜日、若手教員と管理職15人が集まって、生徒と学校の未来を考えるワークショップを開催しました。

本校のスローガンは、I have a dream! ------ 夢を持ち、夢に向かって進んで行く生徒たちを応援する学校です。そのために「心の教育」「国際教育」そして現役での大学合格を目指す「進学指導」と3つの教育の柱を掲げて、丁寧な教育指導を心がけています。しかし、中学・高校の教員が細かく指導できるのは大学入学まで。それから先の人生は、彼女たちが自分の手で切り拓いていかなければなりません。

彼女たちが生きて行く社会は、グローバル化、少子高齢化、高度情報化が進み、女性の社会進出が広がると同時に、フラット化と格差拡大も進みます。そんな生徒たちの未来を想像しながら、学校と私たち教員はこれから何ができるのかを、じっくり考えてみようという試みです。

今回は、外部からファシリテータを招き、ロジカルシンキングの手法を用いて、15年後の未来、生徒たちにこうあって欲しいという姿を描き、そこにたどり着くためは何が必要で何ができるのか、その具体策を出そうと、喧々諤々の議論が行われました。


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▲ファシリテータの高橋俊之さん。「世の中に笑顔を増やすビジネススクール『SCHOOL OF 未来図』」代表。ロジカルシンキングの手法をベースに、ビジネスパーソンが自分たちの仕事を通じて笑顔のある社会を実現するためのスキルアップ講座やワークショップを開催している。今注目を浴びている立教大学経営学部のBLP(ビジネスリーダーシッププログラム)の基幹科目の一つ「論理思考とリーダーシップ」の設計責任者でもあります

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このワークショップは、私たち教員にとって大変有意義なものでした。ポイントはいくつかあります。

1) 未来に視点を置いて今の教育を見直せたこと
2) 本当の教育の価値を考えられたこと
3) 教員同士が本音で話し合えたこと など

15年後の生徒たちの姿をイメージすることによって、普段、当たり前のように行っている教育・指導が、本当に生徒たちのしあわせにつながっているのかを見直し、その本来の意義を考えるよい機会になりました。

たとえば、本校は現役合格率の高さが一つの強みです。今年も96.1%の生徒が現役で4年制大学に進学しました。この数字が、入学してくる生徒たちやその保護者のみなさんには「この学校になら任せられる」という安心感を、卒業する生徒には「淑徳与野でよかった」という満足感と充実感をもたらす大きな要因となっています。しかし、「現役合格」が何のために、どれだけ大切なのかということを議論したり、少しでもレベルの高い大学へと目標を掲げることを疑問に思ったりすることは、日ごろの教育活動の中ではありません。

ほかの教育の柱、「心の教育」や「国際教育」についても同様です。人を思いやる心を育んだり、グローバル化に対応した語学教育やアメリカ修学旅行による体験教育は有意義です。しかし、なぜ有意義なのか、それが生徒たちの未来にどのように役立つのかを突き詰めて考える機会はありません。今回は、そういった学校がミッションとして掲げている3つの教育の柱をテーマに取り上げたことで、より現場に密着した議論ができました。

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ここで、ワークショップのステップについてご紹介しておきます。
プログラムは3つのステップに分かれています。

STEP1 15年後、生徒たちにどんな女性になっていてほしいか、を議論。
STEP2 そのために必要なのは何か?を考える。
STEP3 そして今できていること、これからやるべきことを考える。

これらを「心の教育」「国際教育」「キャリア開発」という3つのテーマに分けてグループごとに話し合い、話しあわれた内容を全体で共有するという形式をとりました。

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次に、議論された内容のうち、主だったものをいくつか紹介します。

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1)生徒が主体的に動く機会を増やす
 面倒見のいい先生、面倒見のいい学校が本校のセールスポイントですが、ともすると、すべてを学校がお膳立てして生徒はそれを実行するだけ、という状態になってしまう可能性もあります。社会に出て、強く生きていって欲しいということを考えれば、中学・高校時代に、何事にも自ら主体となって行動できるような訓練をもっともっとしておきたいところ。学校行事はもちろん、生徒会活動やクラス運営の中で、生徒が主役になれる場面を増やしていこうと、さまざまな具体案が出されました。

2)生徒も先生も、失敗を恐れない
 本校の生徒のいいところは「まじめ」で「素直」。学校内でのいじめや不登校なども、本当に少ない学校です。それほど秩序が保たれた学校だけに、生徒も先生もやや保守的になりがちです。もっと積極的に新しいことにチャレンジしてもいいのかもしれません。「いままでこうだったから」とか「前例がないから」と思考をストップさせず、そして失敗を恐れず、どんどん新しいことに取り組んで行きたいという声がたくさん上がりました。それには、「伝統」という一言で続けてきたものを「止める」「変える」という決断も必要です。

3)教師も学校も、発信することが大切
学校や教師の発言には常に責任が付きまといます。したがって、生徒や保護者に伝えるのはしっかりとした裏づけのある「結果」や「決定事項」にどうしてもなってしまいます。しかし、結果が出なくても伝えていかなければならないことはたくさんあります。今回の議論で出てきたように、「実践するには解決しなくてはならない問題があるけれど、方向性としてはこっちへ向かいたい」ということはたくさんあります。学校も一人ひとりの教師も、考えていることや感じていることをもっともっと発信していくことで、白でも黒でもない、グレーゾーンをいい方向に向けていきたいものです。

4)理想と現実のギャップから目を背けない
学校教育は理想を追求する場。教員も学校も「なにがベストか」を常に求めています。しかし現場では、掲げる理想と現実との折り合いをつけなければならない場面もあります。たとえば、大学受験にしてもそうです。「現役合格」という学校の方針と、生徒の「主体的な進路選択」や「失敗を恐れないチャレンジ」とは、常に表裏一体。「現役にこだわらず、もっと挑戦させてもいいのでは?」という意見もあれば、「『現役合格』を約束しているからこそ、さまざまな取り組みができる」、あるいは「現役で進学して一年でも早く社会に出ることは、女性にとって大きな価値がある」と言う意見もあります。簡単に結論は出ません。しかし、大切なことは、教員がそういった問題意識を共有し、常に議論を続けていくことなのだと感じました。

ワークショップの中では、これら以外にもたくさんの議論が行われました。その内容は、おそらく中学生、高校生のお子さんを持つ保護者のみなさんにとってもきっと参考にしていただけるのではないかと思いますので、この後、このホームページで何回かに分けて紹介させていただきたいと思います。

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<次回>「15年後はどんな人?」
先生たちが考えた15年後の社会と、そこで活躍する卒業生の姿をイメージしてみました。

2013年6月 2日 17:26