新キャリア教育システム導入

インパクト体験を共有して未来を創る力を育てる プログラム開発協力:立教大学 経営学部 特任准教授 高橋 俊之氏に聞く

「淑徳与野」というチームの力は
大学受験でも発揮される

1年生3人のグループに、3年生のSAが1人加わってグループワークを行いました。事前に準備した自分のインパクト体験をグループの中で発表し、意見交換するという流れです。

黒田 もう一つ、私が重要だと感じたのはSA(スチューデント・アシスタント)の存在です。「インパクト体験ワークショップ」をスムーズに実施するため、経験者である上級生が下級生のグループに入って進行を助けるのですが、これは単なるキャリア教育としてだけではなく、学校全体のタテの繋がりを強める波及効果があると考えています。

高橋 おっしゃる通りだと思います。大学でもSAになった学生は自分の時より勉強します(笑)。これは日本人の特質かも知れませんが、自分のことより他人のことに一生懸命になる。もちろん責任感もあるでしょうが同時に楽しんでもいるようです。それは彼らが、人に教えることで自分の理解も深まるということや、人が学ぶ姿から多くの刺激を受けるということを無意識のうちに感じているからではないでしょうか。

黒田 同じ学年の仲間たちときずなを深め、さらに学年を越えた信頼感を築き上げることができれば、淑徳与野全体のチーム力が上がるということになります。日々の学習やクラブ活動、学校行事がさらに充実することはもちろん、高校3年生になって大学受験に挑むとき、そのようなクラスの一体感や友だち同士が支え合う気持ちが、どれほど生徒たちの力になるか……。

高橋 私もそう思います。「インパクト体験ワークショップ」は自己発見の場であり、他者発見の場でもあり、自分が他者とどうかかわっていくのかという問題意識にも繋がっていきます。

黒田 仏教には、自己の「しあわせ(いたみ)」と他者の「しあわせ(いたみ)」は、その根本において同一のものであるという考え方があります。ひとりの「いのち」が他の一切の「いのち」と深いところで繋がっていることに気づいたとき、人は「いのち」の尊厳を自覚できます。その尊い「いのち」を自他の自己現実に向けて燃焼させることを「自利利他」と言い、本学園では建学の精神に掲げています。そういう意味で、「応援したい人」や「実現したい社会」を考えること、生徒同士がお互いの夢を共有して支え合うことは、本校の「心の教育」の根幹にもつながります。

高橋 それを伺ってとてもうれしく思います。理念としてだけではなく、これからの社会が向かう方向性として、私もおおいに共感を覚えます。まだ中学生なので、「キャリア教育」と言っても、これから先、なりたい職業はいくらでも変わっていくでしょう。しかし、そうであっても、インパクト体験を振り返り「応援したい人」「実現したい社会」を考えることから、単なる受験のため以上の学ぶ動機が生まれます。また、その問題意識を通して社会を見ることもできます。「自分で考える」意欲も方法論も拡充され、自分なりのキャリアビジョンを探る力、すなわち「未来を創る力」を養うことができるのです。

黒田 従来から行ってきた職業研究、職業体験などをはじめとしたキャリア教育プログラムや「創作・研究」などの総合学習も、自分のキャリアビジョンをベースに取り組んでいくことができれば、さらに有意義なものになると考えています。これからが、本番ですので気を引き締めていきたいと思っています。引き続きご指導ください。

高橋 こちらこそよろしくお願いします。この「インパクト体験」のワークショップを繰り返すことは、「心の燃料補給」という意味においても大きな意味があると思っています。「こんな人を応援したい」「こんな社会にしたい」というビジョンを持った若者たちが増えることこそ、これからの日本ひいては世界に必要なことだと思いますので、そんな若者たちを育てる学校を応援したいと考えています。先生方も本当にお忙しい中、新たなことの導入は大変だと思いますが、よろしくお願いします。

黒田 本日はお忙しい中、ありがとうございました。

インパクト体験のワークショップによって、「キャリアビジョン」がはっきりしてくると、学ぶ動機が高まり、様々なキャリアプログラムだけでなく、普段の学業への取り組み姿勢も、より積極的になってくることが期待されます。