キャリア教育システム インタビュー

キャリア教育のPDCAを推進 思考力・表現力、主体性・協働性を育み生徒一人ひとりの未来につながるキャリア教育 立教大学 経営学部 客員教授 高橋俊之氏に聞く

淑徳与野中学・高等学校では、2020年の大学入試制度改革に向けて、キャリア教育の改革を進めています。文部科学省が掲げる学力の3要素(①知識・技能、②思考力・判断力・表現力、③主体性・多様性・協働性)をいかに身につけていくか。改革にあたり、教育顧問としてご協力いただいている立教大学経営学部 客員教授の高橋俊之氏にお話を伺いました。
聞き手:淑徳与野中学・高等学校 副校長 黒田貴

高橋俊之氏
高橋俊之

たかはし・としゆき/プロジェクト・ファシリテータ。立教大学経営学部客員教授、早稲田大学招聘研究員。一橋大学法学部卒、ミシガン大学MBA。情報機器系企業、教育機関などを経て、独立。プロジェクト・ファシリテーションや研修業務に携わる。立教大学では「ビジネス・リーダーシップ・プログラム」のコースリーダーを務める。

自己分析と自己開示を推進する
「インパクト体験棚卸し」

黒田先生にご指導いただいて始めた「インパクト体験棚卸し」は、中学と高校それぞれ定例の取り組みになりました。生徒たちにとって、自分自身の体験や出来事(インパクト体験)を振り返り、そこから応援したい人や実現したい社会を考えることは、これからの進路を考えていくうえで、とても大きな意味があると感じています。

高橋「インパクト体験棚卸し」は、大学生のキャリア教育のために開発したものです。中学生や高校生では、まだ「インパクト体験」と呼べるものが少ないのではないか、と心配もあったのですが、そんなことはありませんでしたね。

インパクト体験棚卸し
生徒たちにとって、これまでに体験した出来事のなかで特に印象に残っていること、自分自身の行動や考え方に強く影響を与えたと思われる出来事(インパクト体験)を振り返り、そこから応援したい人や実現したい社会を考える。

黒田はい。運動競技や文化的活動で良い成績をとったこと、病気や怪我での入院、友達とのけんか、中学・高校受験など、生徒たちはさまざまな出来事をインパクトのある体験として受け止めています。その体験をグループワークで共有するというのは、これまでにない経験のはず。「自分のことを話せたのがうれしい」「友だちが聞いてくれた」「それはすごいね!と驚いてくれた」「苦しい体験を持つのは自分だけじゃないんだと知った」など、ワークショップ実施後の感想文を見ると、さまざまな発見があることがわかります。

高橋「自己開示」というのは、キャリア教育の中でとても重要なことです。一つには、自分のことは意外と自分では分かりにくいからです。そこで自分を作ってきた体験を話すことでチームメンバーから「そんなことを乗り越えてきたってことはこういうふうにすごいよ」「だからこういうことを大事にしているんだね」と強みや価値観を「教えて」もらえます。
もう一つは、そうやってメンバーに自分のインパクト体験を受け止めてもらうことで、自分や自分の生きてきた人生(笑)をより肯定的に見られるようになります。そうすると将来のキャリアについても、学校生活においても、より積極的に「自分を活かす」ことを考えられるようになります。
さらに、お互いの自己開示によって、「人間」についての考えが一段深くなりえます。これはキャリア教育に限らず、生きていく上で、大きな意味を持つと考えています。